木 幸田文

1月 17th, 2016 by Taguchi Leave a reply »

「木が好きですか?」と漠然な質問を聞かれたら、私は、「はい好きです。」と率直に答えると思います。

きっと、両親の本棚から、飛行機に乗っている間に読もうと思っていた文庫本の中に、幸田文さんの「木」という本がありました。最近は、家の整理をしようと思っていたら、この本と出会う機会がありました。米国に住んでいる私にとって、ときどき、日本語の活字がとても恋しくなる時があり、この本に読みふけってしまいました。

さて、この本は、えぞ松、ひのき、杉などの木々について、一つ一つ、読みやすく、いい文章で書かれています。私自身も、ランドスケープアーキテクトという仕事柄のために、樹木について精通しており、多くの樹木図鑑を持っているのですが、幸田文さんの文章には、その樹木との出会い、思い出などにストーリーがあり、とても本を読んでいて心地が良いものでした。さすが、作家さんです。幸田さんが、樹木の樹皮について、着物に例えるところが、女性らしい表現だと思いました。きっと、本当に樹木が好きだったのでしょう。

「ひめしゃらは剥げる木だが、特別うつくしい肌をもっている。林の中で、ひときわ目立って、赤い肌である。しかもそれが着物ではなく、素肌といった感じである。さわれば冷たく、つるつると滑らかで、その上光沢がある。布地で言うなら、羽二重だろうか。」
幸田さんは、若木のひめしゃらの樹皮を、赤褐色の無地羽二重に例えているのも素敵です。

一本一本の木には、子供を育てるような思いがあるような気がします。私の仕事も、エントランスに植えようとシンボルの樹木が、クライアントがお金がないから、安いものを植えようと言っていて、この木は重要だから、なんとかならないか?と交渉したのですが、無理だったことがありました。これは、残念と思っていたのですが、圃場の施工業者が、良いものでリーズナブルな価格の素晴らしい木を持ってきてくれて、ビックリしたことがありました。クライアントもその樹木を大変気に入って、きちんとアップライトを付けるようにと、追加注文がありました。

ひめしゃらの樹皮を見たい人は、以下のページでみてください。私も好きな木の一つです。
http://www.kandoujumoku.com/(28t)ashinoko_himeshara/ashinoko_himeshara.html
以下の「感動樹木」のページに載っている木も訪ねてみたいですね。
http://www.kandoujumoku.com/

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