困ったとき、迷ったとき、壁にぶちあたったき、
落ち着きたいとき、将来のことを考えるとき。。。
いろいろ場面に、この「道をひらく」という松下幸之助さんの本を読みます。
ベッドサイドテーブルに入っている、たった一冊の本です。まるで聖書のような扱いです。
その本の最初の文章を紹介します。
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雨がふれば人はなにげなく傘をひらく
この自然な心の動きにその素直さに私たちは日ごろあまり気づいてはいない
だがこの素直な心自然な心のなかにこそ物事のありのままの姿 真実をつかむ偉大な力があることを学びたい
何ものにもとらわれない伸びやかな心でこの世の姿と自分の仕事をかえりみるとき
人間としてなすべきこと国としてとるべき道がそこにおのずから明らかになるであろう
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この本を気に入っているところは、自然環境と人の関係を踏まえて、仕事や人生について書かれているところです。
雨がしとしと降り、傘をひらく。このような風景は、とても日本らしいと思います。西欧では傘はあまりささないだろうし、米国ではあまり雨が降らない地域が多いです。
日本の自然環境から生まれた、謙虚で真剣な人たち、そして、心を定めて一生懸命に、道を休まずに歩くことが大事だと、この本を読むたびに自分に問いかけたりします。
人生の起点を考えさせられる本ですね。
また、ランドスケープに関わるものにとって、自然について触れられていることが多い文章が散りばめられているところに共感します。
以下は「自然とともに」という文章からの引用です。
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春になれば花が咲き、秋になれば葉は枯れる。
草も木も野菜も果物も、芽を出すときには芽を出し、
見のなる時には、実をむすぶ。
枯れるべき時には枯れてゆく。
そこには何の私心もなく、何も野心もない。
無心である。虚心である。
だから自然は美しく、秩序正しい。
困ったことに、人間はこうはいかない。
素直になれないし、虚心になれない。
ともすれば野心が起こり、私心に走る。
だから人びとは落着きを失い、自然の理を見失う。
そして出処を誤り、進退を誤る。
秩序も乱れる。
時節はずれに花が咲けば、これを狂い咲きという。
出処を誤ったからである。
それでも花ならばまだ珍しくてよいけれど、
人間では処置がない。
花ならば狂い咲きですまされもするが、
進退を誤った人間は、笑っただけですまされそうもない。
自分も傷つき、人にも迷惑をかけるからである。
人間にとって、出処進退その時を謝らぬことほどむつかしいものはない。
それだけに、ときには花をながめ、野草を手に取って、
静かに自然の理を案じ、己の見の処し方を考えてみたいものである。
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ランドスケープにも関係ない方でも、お勧めの本です。
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