今どきのリゾートはヴィラを中心とした低層建築、かつプライベートに…

2010年 7月 20日 火曜日by Taguchi Leave a reply »

ホテル・リゾートのランドスケープ  - フロリダのカプティヴァ島とサニベル島(Captiva and Sanibel Island)②

前回からの続きで、フロリダのカプティヴァ島にあるSouth Seas Island Resortを紹介します。このリゾートは、ランドスケープ・景観の観点において非常に良く出来ており、素晴らしい場所がたくさんあります。
多くのホテルのランドスケープデザインに関わる私自身も、「また泊ってゆっくりしたい。」と思うような場所です。特に素晴らしいと思った点は、ホテル客室のヴィラを主として、レセプションセンター、レストラン、ビーチクラブ等の低層建築が広大な敷地を利用して上手に配置されている点が挙げられます。

South Seas Island Resortを上空から見る。 ©Google Map

South Seas Island Resortを上空から見る。 広大な敷地に低層建築が配置されている。©Google Map

衛生写真を見ると、西側にあるプライベートビーチ沿いに建物が並んで配置されているのが分かるでしょうか?これらは、オーシャンビューを意識した敷地計画になります。この衛生写真だけでは、なかなか分かりにくいですが、ヴィラやビーチクラブなどの建築物とビーチの間に広いセットバックが取られていました。これらは主として、ビーチの砂丘や沿岸沿いの植生(Coastal Plant Community)の保護をするためのものです。下の写真を見ると良く分かります。

ホテルのビーチ・ヴィラ

ビーチ沿いにそってホテルのヴィラが並ぶ。


海岸植生は、ビーチや砂丘において非常に重要な役割を果たしています。ここも米国の環境保護局(EPA)を中心とした保護目的のセットバックが施されているものと思われます。
 
「なぜ沿岸の植生が大事なのか?」
 
今回は良い機会ですから、環境的な点からみるランドスケープとして以下に海岸植生の重要な役割を挙げておきます。

  1. 植物の葉や根により風や波で運ばれた砂を捕まえビーチを形成する。沿岸植生により、海風や波で侵食されないよう保護している。フロリダの沿岸植物の代表的なものとして、Sea Oats(Uniola paniculata)やSea Grapes(Coccoloba uvifera)などが挙げられる。
  2. 海岸の植生のある場所は多くの動物たちに、生息環境を提供しています。例えば、フロリダの場合はLaughing Gull(ワライカモメ)、Snowy Plover(シロチドリ)等の鳥類から、Beach Mouse等の哺乳類、Six-lined Racerunner等の爬虫類まで多種多様です。
  3. 沿岸植生がなくなると、ビーチの健康状態が悪化し、ビーチが狭くなったり、消滅したりする可能性がある。更に、ビーチ沿いにある建物や土地に、波や台風などにより被害を与える場合がある。自然環境の中で、沿岸植生は、護岸目的の岩堤防(revetment)や護岸壁(seawall)の役割を担っているのである。
植生で守られたビーチの砂丘があるのが分る。

植生で守られたビーチの砂丘があるのが分る。

沿岸植生は、時々、人々が草を踏んで通り抜けることにより簡単に荒されることがあります。ビーチへの狭い道も、少しづつ、人が通ることにより広がっていってしまい、植生が無くなってしまうのです。これを防ぐ為に、植生を保護しつつ、ビーチへアクセスを可能にするウッドデッキ等を環境保護局は勧めています。私達ランドスケープアーキテクトも、多少、予算はかかりますが、開発者に対して納得して頂けるよう説明する努力をしています。長期間でみれば、既存の自然植生を残すことは、全体的な景観であったり、環境の循環を保護するとともに、開発地の経済面やランニングコストに良い影響を与えるものです。

ビーチへのウッドデッキの道

沿岸植生を守る為のビーチへのウッドデッキの道

日本のリゾートと言うと、バブル時期に建てられた高層建築をついつい想像してしまうのですが、このカプティヴァ等のリゾートは、そのような気配が全くと言って感じられませんし、このようなホテルランドスケープは『Timeless(時代に左右されることない)』ものだと言えます。もちろん少しづつ手間隙をかけて改良していったものだと思われます。

<参考資料>

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