丸の内パークビルディング(ブリック・スクエア)と三菱一号館美術館の広場

1月 27th, 2010 by Taguchi Leave a reply »

実は私は年末から新年にかけて、日本に一時帰国していました。その際に、東京で『これは素晴らしい。』と思ったランドスケープの一つを紹介したいと思います。それが、丸の内パークビルディング(ブリック・スクエア)と三菱一号館美術館の広場・中庭です。この場所は、東京駅の丸ビルがある仲通を有楽町・銀座方面に少し歩いたところにあります。少し奥に入った場所にあるので、気づきにくいかもしれませんが、その分、中に入ると都会の喧騒を忘れてしまうような、ちょっとした楽園的な空間になっています。特に私が行った日は、仲通りを歩いていると冬の北風やビル風が非常に強く吹きとても寒かったのですが、このブリックスクエアの入り口に入ると、気のせいかビル風があまりなく、外にいても快適でした。きっと広場が低層の建築物に囲まれていることにより緩和されたのだと思います。一方、仲通りそのものはほぼ南北に道が走っている為に、冬の北風をよく通すのでしょう。

仲通から丸の内ブリック・スクエア入り口

仲通から丸の内ブリック・スクエア入り口。角のお店は、花屋。


ハナヒロの花屋には、お正月のアレンジが置いてあり季節感を感じさせてくれた。

ハナヒロの花屋には、お正月のアレンジが置いてあり季節感を感じさせてくれた。、


丸の内ブリック・スクエアの入り口にあるアネックスと呼ばれるビルディング。

丸の内ブリック・スクエアの入り口にあるアネックスと呼ばれるビルディング。

中に入ると、カフェ、レストラン、雑貨屋などの商業施設に囲まれた広々とした中庭に出ます。実際はあまり大きな空間ではないのですが、広々とした感覚を利用者に与えるのは、周りが低層建築であること、さらには、芝生・グラウンドカバー・花の低い植物と高木を中心としたおり、歩く人の目線を妨げる潅木類の植栽を避けていることによるものだと思われます。建築構造物に定義されたスペースも、L字型の形を平面上にしており、その中をゆったりと曲線に沿うように、人の動線・目線を動かすことにより奥行き間を出し、広さを演出しているのかも知れません。このような空間は、シンプルになりすぎがちなのですが、ゆったりとした高低差をつけることにより、いくつかのスペースを定義していたのも個人的には好感を抱きました。ところどころに置かれた多数の著名な彫刻アート(ヘンリー・ムーアを含む)もこのランドスケープをさらに惹きたてていました。

丸の内ブリックスクエアの庭。ところどころに、著名な彫刻が置かれている。

丸の内ブリックスクエアの庭。ところどころに、著名な彫刻が置かれている。

そして、何といっても印象的なのが、丸の内パークビルディングへの入り口ピロティの部分にある緑化柱です。この垂直に聳え立つ円柱の緑の群集は、人々の注目を引くだけでなく、楕円形のパーゴラ部分にバラが絡ませてあり、その下では気持ちよさそうに人々がベンチに座りくつろいでいました。最近、日本では愛知万博のバイオラング以来、街のあちこちで、緑化壁はよく見られるようになりました。エコ的なイメージが強く、その影響かもしれません。
英語ではこの緑化壁は”Living Wall”と呼ばれており、日本でいう緑化壁という言葉よりは個人的にはとてもセンスがよい呼び名のような気がしています。こんなにシンボル的で、格好いいのに緑化壁と呼ぶのは、もったいなくてしょうがありません。むしろ、今回のピロティにあるものは「呼吸する緑の柱」とでも呼んだほうが良いのではないでしょうか。誰か他に良い名前を思いついたら教えてください。。。

丸の内パークビルディングのメイン入り口のピロティの緑化柱(Living Wall)。バラを絡ませたパーゴラ(shading structure/awning)も面白い。

丸の内パークビルディングのメイン入り口のピロティの緑化柱(Living Wall)。バラを絡ませたパーゴラ(shading structure/awning)も面白い。

次回は、もう少し詳しくこの緑化壁と、三菱一号館美術館のあたりについて紹介できたらと思います。

参考資料:

三菱一号館ウェブサイトhttp://www.mimt.jp/

丸の内ブリックスクエアhttp://www.marunouchi.com/brick/

ランドスケープデザイン、No69、2009年12月号;p6-25

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4 comments

  1. ota michiyo より:

    こんばんわ!実はこの場所は私の大のお気に入りで、昨日もランチに寄ってきました。広場は曲線を多用することで、ゆったり感が生まれ、豊かな緑と適度に緑陰もあって気持ちが良いです。また最近になって、↑の記事を拝読し
    たり、偶然この広場を設計した方々の談話を読む機会もあり、環境対策にも取り組、成功している事も知りました。それにしても緑の柱は凄い!生きている柱です!現在は中の仕掛けが見えないほど植物が成長しています。
    三菱1号館は細部にも忠実な復元とのことですが、英国の煉瓦作りをイメージしていた私にはやや異なりました。しかしOld is new!ですね。こういう建物内にいると、ついその時代へタイムスリップしてしまう自分がいます♪。またこの近くの明治生命館がある街区も重要文化財保存と現代ビル群が上手く融合したLandscapeと思います。
    田口さんには遠く及びませんが、いつか私もこの地区の事を撮影した写真と共にブログに書いてみたいと思っています。その時はリンクさせていただいてよろしいですか?
    田口さんが、L・Aとして、いつの日か我が祖国日本で活躍される事を願ってやみません。

  2. Taguchi より:

    この丸の内エリアの再開発は、とても良いオフィス空間を提供するようになったと思います。外国人の友人が来る場合は、このエリアに観光に連れて行きたい場所でもあります。三菱地所の本格的なディベロプメントは、さすがです。
    明治生命館のところも良いですよね。ヨーロッパでよく見られるように、現代建築と古い建築を、アトリウム空間を通して繋げるという手法は、日本でもっと見たい事例ですね。地震がある日本では、なかなか難しいのかもしれません。

    リンクの件は、ご自由にして下さい。これからも、どうぞ宜しくお願いいたします。

  3. ota michiyo より:

    実は私、東京都の観光ボランテイアガイドをする事に
    なりました。登録言語は英語で諸条件(TOEIC,海外体験など)はクリアしたものの、今後かなり勉強が大変そうです。新分野の英語を学べる喜びは格別ですが、green wallだと思っていたし、アナトリウムがatriumだと分かるのに時間がかかり、先が思いやられます(涙)↑の界隈もガイドルートに入っています~♪

    田口さんのブログを読んで、若い人々も発奮して夢を持って海外雄飛してほしいですね。

    ご多忙の由、了解しました。健康に気をつけてくださいね。

  4. Taguchi より:

    東京のボランティアガイド頑張ってください。もっと多くの外国の方に日本の良さを知ってもらえると良いでしょうね。
    ボランティアを通して、人々に貢献しつつ、自分を磨く(英語を勉強する)という一石二鳥になるかもしれませんね。

    私も来年には、近くにあるThe Morikami Museumという日本庭園のイベントのボランティアをすることになっています。
    http://www.morikami.org/

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