Paley Park ペイリーパーク ポケットパークに価値を見つめる

3月 22nd, 2011 by Taguchi Leave a reply »

先日、事務所のライブラリーでTrees for Architecture and the Landscapeという題名の古い本に偶然出会いました。よく見ると、著者はRobert Zion。そう言えば、お世話になった都田先生はよくRobert Zionの話をしていたなぁと学生時代のことを思い出しました。彼は、ニューヨークのポケットパークの元祖、Paley Parkを設計したことで有名なのですが、私個人的には、先生がスライドで見せてくれた彼のライフスタイルに学生時代は憧れた記憶があります。とにかく、彼の事務所は週4日働けばよく、更には、彼自身は馬で出勤するというものだったのですから。。。

彼のように優雅なライフスタイルをすることは、私個人、そして現在の働く人達にとって、とてもチャレンジであることは間違いないでしょう。しかし、そこまでの生活スタイルまでには、いきませんが、自分の好きな仕事をできる環境があることが、とても恵まれたことなのかもしれません。そして、それを可能にしてくれる、良きクライアントやコンサルタントの人達と働き、周りの人からサポートがあることは、本当に感謝すべきことなのだと最近は思っています。

さて、話を元のRobert Zionに戻して、彼の本との出会いを祝し、皆さんにポケットパークの好事例と称される、Paley Parkを紹介したいと思います。

Paley Park Fountain

Paley Park ペイリーパークので寛ぐ人たち。Honey Locustの木々からの木漏れ日が心地よい。

私自身が都会に育ったせいか、それとも小空間を好む日本人としてなのか、この小さな公園にはとても心が惹かれました。この公園の最大の特徴と見習うべき点を、以下にまとめてみました。

  • 座ることが可能なスペース – とにかく人が座ることが出来るスペースは都市空間においては欠かせません。ここでは、自由に動かせるイス(多分Bertoia Chair)と小さなテーブルでどこにでも座ることができます。
  • 水の存在と人々を魅力するフォーカルポイント – 6.1m(20feet)のカスケードの噴水(毎分1800ガロン、6814リットル)が都会の喧騒のノイズを忘れさせてくれます。Paley Parkの中心の視覚要素であり、これがある事により、道路からこの公園の魅力に惹かれて、どうしても入ってみたくなってしまうのです。
  • 太陽と樹木の要素 – ハニーローカスト(アメリカサイカチ)のマメ科の小さな丸みを帯びた羽状複葉から、繊細な木漏れ日を注ぎ込まれています。建物から跳ね返る間接光も重要要素として捉えることが出来ます。
  • 人という要素 – 木々の下で人々は、友人たちと日常の何気のない会話を楽しんだり、ランチを楽しんでいます。利用者が常にたくさんいることにより、ある程度の賑わいがあることも重要です。
  • 食の要素 – 小さな売店があり、サンドイッチやコーヒーといった軽食を手軽な値段で買うことが出来きます。いわゆる、アウトドアカフェだと言えます。ニューヨークでは、オープンスペースの20%をこのカフェスペースに利用して良い規則(Ordinance)があると、William Whyteのビデオで観たことがあります。
  • 道路と親密な立地条件 – 通りから直接見える事により、つい、この空間に入りたくなる魅力があります。道路との親密な距離感や高低差も適度であると言えます。意外と、その中にいる利用者は、自分たちのことを見て欲しいものなのです。。。
Paley Park ペイリーパーク

Movable Chairで利用者が好きなように寛ぐ。ある程度に狭い幅に椅子がおかれ、賑わいを感じさせる。

まさに、都会のオアシスという言葉がとても似合う公園です。そして大きさは、たったのの390平米(4200 sq ft=約、横40,縦100feet)なのです。また、3,7m(12 feet)幅という小さめの間隔で植栽された17本のHoney Locust(Gleditsia triacanthos).の樹木という設定も面白いかなと思います。以前に、この木は大きくなりすぎたので、入れ替えたと聞いたことがあります。(本当か分りませんが。。。)ただ、今回、私がRobert Zionの本を読んで分かったことは、彼は、樹木のことに精通しており、1967年という40年以上も前の設計において、都市樹木の劣悪環境を施工時になんとかしようと工夫していた点にあります。その方法は、穴あきパイプを四方に巡らし、酸素、水を送るというものです。そして、その上にピンコロの石をサンドセッティングで設定したものと思われます。

ペイリーパークにおける植栽方法

ペイリーパークにおける植栽方法。都市環境において、きちんと植物が健全な状態が保たれるように工夫されている。


Honey Locustの根元

Honey Locustの根元 きっちりとピンコロが敷き詰められている。


Movable Chair

Movable Chair。よく見ると、木の側に穴あきパイプに繋がれたと思われる排水蓋が写っています。

参考としてですが、以下の動画もよくまとまっていますので、良かったらご覧になって下さい。



Paley Parkについての動画

以下がZion氏の本になります。

一回のブログでまとめようと思ったのですが、もう少し紹介したい写真がありますので、次回に、もう少し続きを書いてみようと思います。

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2 comments

  1. COCA-Z より:

    こんにちは。はじめまして。先日、17年ぶりにNYを訪れる機会があり、色々情報を検索していたらこちらのブログに行きあたりました。
    ペイリーパークも久しぶりに尋ねたところ、たまたま管理人の方がいらっしゃったので、アメリカサイカチの植え替えの件を聞いてみました。
    確かに1999年に一度植え替えたとのことです。植え替えはそれ一度きりとのことでした。情報を参照させていただいたのでお礼まで。

  2. Taguchi より:

    Cocoa-zさん、はじめまして。1999年に植え替えをしたのですか。それでは、約30年に一度という訳ですから、維持管理の更新と考えてもあまり悪くありませんね。日本の木造住宅の耐用年数も約30年といいますしね。今度行くときは、すでに10年以上経っているのですから、木としては立派になっているでしょうね。情報、どうも有難うございました。

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