Archive for the ‘公園’ category

フロリダ高校銃乱射の都市 - 身体障害者を考慮した全ての人々の為の公園を!

2月 24th, 2018

10日ほど前から、フロリダのニュースが日本でも流れているようです。そう、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の銃乱射の事件です。

この事件があった場所は、私が住んでいるところから車で40分程の距離にあるパークランド市です。恐らくニュースを見ている方は、とても危ない場所というイメージがあるでしょうが、実際は、フロリダで三番目に安全といわれるほど安全な場所です。私のパークランドのイメージも、とても安全で、住人の方も教養の高く優しい人たちが住んでいるイメージです。

2014年から2015年にかけてパークランド市の公園のマスタープラン計画のプロジェクトの業務に携わっており、市の住民の方、ボランティアグループの方、市長、役員、市の職員の方々を知っていますが、本当に素晴らしい人達でした。今までのクライアント方々の中でも、本当にまた働きたいと思うような人達でした。その分、今回のような事件は非常に残念ですし、生徒さんや家族の方の事を思うと個人的にも心苦しいものになってしまいました。今回は、この事件があった都市での公園を計画した際に会った人たちのことを書きます。

プロジェクトは既存のレクリエーション公園を身体障害者を含めた全ての人の為の公園にしてほしいという依頼でした。市のボランティアグループからの声かけが中心になり、市が少額の予算を組み依頼したプロジェクトでした。市の仕事ですから、プロポーザル式の一般入札でした。事務所内でも少額な予算なので、仕事をすると赤字になるからと多くの部長達が断る中、私の女性上司グループを中心に、子供達の為や地元の人たちの為にやろう!と入札に参加し、パークランド市は弊社に仕事を引き渡すことを決めました。

公園の全体パース:ボランティア団体の提案から、後にFriendship Parkという名前に使用という提案があった。


ボランティアの代表の方との最初のミーティングは、とても印象的でした。All inclusive parkというテーマで、身体障害者を考慮した場所などのランドスケープ関連の雑誌を切り取ったページを差し出して参考にして欲しい!というのです。とても熱心な方だなと、今でも思い出します。この方は、パークランド市にParkland Buddy Sportsというボランティアグループを立ちあげ、更には、The Friendship Initiativeというスポーツだけではなく、音楽、アート、フィットネスをするボランティアを立ち上げました。これらのボランティアグループの素晴らしいところは、高校生を中心とした学生と身体障害者の若者を「仲良し友達(buddy)」としてタッグを組ませて、スポーツや音楽を一緒に楽しむというものなのです。もちろん、身体障害者の方も喜ぶのですが、一番、喜ぶのが一般の生徒の両親達なのです。「うちのだらしない息子がボランティアに参加している時は、しっかりして身体障害者の子たちを支えている!」という驚きの声を親が話すのです。つまり、皆がハッピーになるウィンウィンのプログラムなのです。

プロジェクトが終了した後も、私達も » Read more: フロリダ高校銃乱射の都市 - 身体障害者を考慮した全ての人々の為の公園を!

バッテリーパークシティー Battery Park City

7月 3rd, 2016

ハドソン川を眺めながら、ニューヨーカーになった気分で都会の緑の中を歩く。マンハッタンの最南端に位置するバッテリーパークシティーは、まさにその場所です。

前回のニューヨークの都市計画長のアマンダ・バーテンのTED TALKで紹介されたバッテリーパークシティー(Battery Park City)について、今回は紹介しようと思います。バッテリーと言われると乾電池のバッテリーか?と思ってしまうのですが、この英語のバッテリーはもう一つの意味の砲台という意味です。もともと都市を守る砲台があった土地の場所にできた公園がバッテリーパークです。自由の女神へのフェリーが出るので知っている方がいるかもしれません。そして、その北西部の埋立地の上に出来た都市開発エリアがバッテリーパークシティーです。約37ヘクタールの中の約三分の一が公園などの緑地だというのが、ここの魅力です。

このバッテリーパークシティーを歩くと、様々な緑地、例えば、広々としたベンチと芝生、噴水とアウトドアカフェ、港のような水辺などを見つけることができます。そこでは、ニューヨーカーや旅行者たちの憩いの場になっているようです。この多くの部分のランドスープデザインを担当したのがローリー・オリン(Laurie Olin)とロバート・ハナ(Robert Hanna)の事務所Hanna/Olinです。そのオリン氏がこの公園について、いかの動画で紹介しています。

残念ながら、日本語字幕はないのですが、いろいろな緑地が見れることがYouTubeを通して分かると思います。オリン氏によると、1976年当時、計画の際に以下のようなことを考えたといっています。

いかにニューヨークらしさを表現するかするか?それは全く新しく斬新的なものではないが、永久持続的なもの。
開けた水のプロムナードを作り、その緑で街をつなげる。
ストリートファーニチャー、例えば街灯、ベンチ、レーリングといったディテールがニューヨークを象徴するものにし、この基本的な要素を骨組みとし基盤をつくること。新しいものは、この上に加えていけばよい。

オリン氏の代表作には、ブライアントパーク、コロンバスサークル、ワシントンDCのモニュメントパーク、ゲッティーセンター、ロンドンのカナリーワーフなどがあります。興味があるかたは、以下の本を参考にして下さい。きっと、ディテールまでこだわった緑地空間が楽しめると思います。

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街の宝物 それは、公共空間

6月 18th, 2016

ニューヨーク市は、公共空間をどれだけ大事にしているのでしょうか?

ニューヨーク市の都市計画長を委任された凄腕のキャリアーウーマン、アマンダ・バーデン。彼女はリーダーシップを発揮しながら、マンハッタンの緑の骨格である公共空間を再生することにより、街を活性化しました。その彼女の苦労と決断力、住民に耳を傾けた日々の努力を、日本でも有名になっているのTED TALK動画で紹介します。英語が苦手な人も、日本語字幕がついていますので、ぜひご覧になってください。

彼女の役職は、日本でいえば東京都の都市計画長という位置であると理解してもらえると分かりやすいと思います。彼女は多くの住民に耳を傾け、人々が欲するものを見出し、時にはハイラインのような公共空間を保護することをサポートする決断をしました。都市計画長が女性というのも、米国らしいですね。米国は初めての女性大統領が当選する日も近いかもしれませんしね。

TED TALKのウェブサイトでは、バーデンが » Read more: 街の宝物 それは、公共空間

Greenacre Park 緑、水、そして冬の対策

5月 3rd, 2011

前回紹介したグリーンエーカーパークの続きです。今回は、植栽の緑、カスケードの水景施設、そして、公園の冬の寒さ対策について書くことにします。
このGreenacre Parkにおいては、見本となったポケットパークのPaley Parkと同様に、小さな空間を活かすとともに、ハードな壁面の視覚を和らげるために、ツタによる壁面緑化がされていました。やはり、密度の高い都市空間では、壁という立面をどのように扱うのか重要なのでしょう。メインの樹木がアメリカサイカチ【Gleditsia triacanthos(Honey Locust)】が使われいたので、Paley Parkと同じく、ヘデラ【Hedera helix(English Ivy)】が使用されているのだろうと思っていましたが、ここでは、ナツヅタ【Parthenocissus tricuspidata(Boston Ivy/Japanese Ivy)が使われているそうです。両方とも夏場は、緑色をしているツタなのですが、秋には、グリーンエーカーで使用されているナツヅタは鮮やかな赤色に紅葉しますので、雰囲気が大変変わることでしょう。

Parthenocissus tricuspidata

ナツヅタParthenocissus tricuspidataで覆われた壁

ツタ一つを選ぶのにも、それが » Read more: Greenacre Park 緑、水、そして冬の対策

Greenacre Park ポケットパークのディテールを観る

4月 26th, 2011

以前紹介したGreenacre Parkの続きになります。7年前に私のLSU大学院のMax先生と学生達と一緒にフィールドトリップで、この公園には初めて訪れました。そのとき、ハーバード時代のMax先生の先生が、この公園の設計担当をしたKinoshita氏らしく、いろいろと話してくれました。その話によると、Kinoshita氏はサーリネンの事務所で働いていた時に覚えた、実寸スケール、つまり1:1のモックアップをこの公園の施工時にやったそうです。ですから、この小さな公園には、多くのディテールも見応えがあります。マテリアルの使い方も、アメリカらしい力強さを感じさせつつ、石という日本的な素材も多くに使われています。まず最初に注目したいのは、エントランス部には、彫られた御影石にエッチングによるとてもシンプルなサインとトレリスです。

Greenacre Park Entrance Signage

シンプルなサイン(公園看板)と繊細な緑陰


よく観るとその上には、このような言葉が書かれています。

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これぞ、最高のポケットパーク! Greenacre Park (グリーンエーカーパーク)

4月 19th, 2011

以前のブログで、ポケットパークの先駆けとなったPaley Parkを紹介させて頂きました。今回は、私が知っている限りで、最も素晴らしいポケットパークを紹介します。その公園は、ニューヨークのマンハッタンに所在し、名称はGreenacre Park(グリンエーカーパーク)と言います。皆さん知らないでしょうが、日系アメリカ人のランドスケープアーキテクトによって設計されたものなのです。当初、公園はAbby Rockefeller Mauzé(John D. Rockfellerの孫)によって創設されたGreenacre Foundationが、ランドスケープの事務所、Sasaki Associatesに依頼し、そこの所長(Principal)をしていたMasao Kinoshita氏によって設計され、1971年に開園に至ったという経緯があります。

Greenacre Park

Greenacre Parkを道路側から眺める。「この中に入ってごらん!」と、街の人々を魅了しています。

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