ランドスケープデザインの入門書 「造園計画」

2010年 8月 4日 水曜日by Taguchi Leave a reply »

ランドスケープに関わっていると、いろいろな履歴・職歴などを持った設計者や業界の関係者の方に出会うことが多くあります。環境やランドスケープといった広範囲なものを対象としている為、いろいろな分野の人達がランドスケープに興味を持ち、勉強し、仕事に就くという事実があるのでしょう。
 
このブログを始めてから、ランドスケープ留学について、いろいろな人達から問い合わせや反響がありました。そして最近、少しびっくりしたのが、現在、アフリカでボランティアしている日本人からのお問い合わせです。。。世の中、本当に広いものだと感じると共に、ランドスケープの分野にもグローバル化が進みつつあることを実感しています。そして、よく聞かれる質問の一つが、ランドスケープの経験が無いのですが、留学したいというものです。
 
以前にも書いたかもしれませんが、米国のランドスケープアーキテクチャーの大学院においては、多くの学生が、学部生の時にデザインの勉強をしてなかった人達で大半を占められます。同僚の大学院を出た人達に聞いてみると、その中の数人の海外から来た留学生が、ランドスケープ、建築やデザインを勉強してきた人達が混ざっているというのが、実情のようです。大学院生には、ランドスケープに関わる園芸や環境系の勉強をした人達であったり、経済、アート、文学など様々な事を勉強してきた人達で、皆さん多種多様です。現在、事務所にインターンに来ているLouisiana Sate Universityの大学院生に聞いても、8割ぐらいの学生がデザインの勉強をしてこなかった学生だという事でした。

私のケースは日本の大学にいる際に、緑地(ランドスケープ)を勉強しているものの、あまり特別、デザイン的なことを勉強したのかと考えると、そうでも無いような気がします。この自分の経験と同期の学生達のことをよく考えると、アメリカのランドスケープデザインは、以前からランドスケープに関わっていなかった人でも、関われる分野だと思っています。そして、このような人の多様性にこそ、将来のランドスケープをより良くすることができる私は思っています。
 
しかし、米国に直接留学する人こそ、日本のランドスケープの実情を聞かれることが多くあると思いますし、日本庭園に始まる造園やランドスケープに関する基礎的なことは抑えておいて頂きたいというのも本音です。そこで今回、ランドスケープに関わって来なかった人達も、現在、関わっている人達にも読んでほしい入門本を紹介します。日本語でランドスケープのお勧めの本は、ほとんど無いのですが、初心者・入門者向けには、この海文堂出版の造園計画という本がお勧めです。

造園計画 海文堂出版

造園計画 海文堂出版

実は、この本、文部科学省が出す高等専門学校用の教科書です。とても分かりやすく書いてありますし、値段はなんと395円!です。この本を購入して損をするということは無いでしょう。教科書の為、アマゾンからは購入できませんが、直接、本屋で注文すれば購入することが出来ます。もしくは、以下のkyokasho.jpのウェブサイトから購入も可能です。http://www.kyokasho.jp/product/1222

特に、第二章の「環境と造園の様式」は、世界のランドスケープの歴史から日本の造園史まで短く簡潔にまとまっており、とても良いと思います。そして、第五章の「公園、緑地の計画・設計」も日本における公園の種類や緑地と法規の関係などが書かれており、ランドスケープを勉強する方は知っておくべき内容だと思います。少し残念なのが、第三章の「造園製図と造園デザインの基礎」です。少し情報や方法論が古いものですし、昔の型に捕らわれすぎているのが残念です。しかし、この短い文章で全体的にまとまった本というのは、この本以外に私は無いと思っていますので一度読んでみてください。(もし、他にお勧めの本を知っている方がいたら教えてください。)
 
また少し私的なことになりますが、今回、翻訳にジョン オームスビー サイモンズ と バリー W. スターク (著)のLandscape Architecture第4版を翻訳チームの一人として翻訳させて頂きました。この本は、私がコロラド州立大学のIntroduction of Landscape Architectureという概論コースで教科書として使われていたものです。都田先生から、翻訳チームの一人としてやらないかと誘いがあり、今回、翻訳させて頂きました。約400ページで少し大きな本ですが、ランドスケープ関連の方は、掲載されている写真や事例は面白いので、書店で見かけたら目を通してみてください。英語に自信のある方は、英語版のほうが値段も安いので、そちらの購入をお勧めします。

この本は都田徹先生を含め9名の方の手により翻訳され、2010年7月に出版に至りました。特に私が担当した章は、第十章の「ランドスケープの植栽」と第十一章の「敷地とボリューム」になります。ボランティアで翻訳しましたので、この本が売れても、私には何のメリットもありませんが、少しでもランドスケープの普及に繋がればと思います。

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