ランドスケープの事務所と大学の関係 - 学生が実務のプロジェクトに取り組む

9月 26th, 2011 by Taguchi Leave a reply »

8月の終わりに、私の大学院の母校であるLouisiana State Universityの学生達が事務所に来ました。LSUのBruce Sharky先生からの提案で、大学のスタジオ授業の一部として「学生達に実務のようなプロジェクトをやらせたい。」とのことでした。大学と私の事務所の関係は長期に渡るものでありましたので、軽く引き受けたようです。

この学生のプロジェクトに関して、事務所のほうから私にメインコーディネーターになってくれと頼まれました。個人的に、Bruce先生には、Mexico cityで約一ヶ月間に渡りフィールドとリップを一緒にしており、お世話になっていた恩もありましたし、学生にはいつでもオープンにしておくのが私のモットーであるので、私自身も快く引き受けることにしました。そして、責任者として学生達が多くのことを学べるように、スケジュールの調整から、プロジェクトの推進とレビューをする役割を担うことになりました。

予定としては、先生が引率し、約一週間の間にフロリダのField Trip(ランドスケープのプロジェクトを観る旅行)を3日間、私の事務所でDesign Charretteと呼ばれる短期のデザインワークショップを4日間というものでした。さて、Design Charretteと呼ばれるワークショップは、事務所に来るインターンの学生達が4,5日と短い間に、実際のプロジェクトをグループとして取り組むものです。毎日のように事務所のデザイナー達の前でプレゼンし、レビューやコメントを取り入れながら、デザインするのです。この期間は、異なった大学から来る10人程度のインターンの学生が知り合うのに良い機会ですし、その間に同期としてのグループ感覚をもつようになります。また私達デザイナーが、個々の学生の性格や技術がどのようなものなのか?理解することが出来るのです。

普段、このインターンの学生がするものを、LSUの学生達にやってもらうことになったのですが、大学の授業の一環としてやるのは、前例がありませんでした。更に、学生の数が約20人という多数であるのが、私にとって今回のチャレンジでした。特に、全国の大学から選ばれたインターンの学生とは異なり、技術がバラバラであるのも配慮する必要性がありました。

事務所でプロジェクトに取り組む学生達

事務所でプロジェクトに取り組む学生達(大学4年生、5年生、大学院の3年生)


Bruce先生の授業が、住宅を主とした街づくり(Residential Community Development)をテーマにしたものでありましたので、私は、カリブ海のWest Indiesにある山があり、美しいビーチがある約200acreの敷地をプロジェクトに使うことにし、ツーリズムを中心とした街づくりの課題を出すことにしました。。学生達に、大地の地形を理解してもらい、その中で、どの場所を保全すると共に、ディベロプメントが出来るのかというのが、ランドスケープアーキテクトとして重要だと思いましたので、今回チャレンジしてもらうことにしました。

Grenada, West Indies - 学生の題材にしたプロジェクト

Grenada, West Indies - 学生の題材にしたプロジェクト

そこで、ツーリズムを中心とした街づくりのプログラムを与え、3日半でマスタープランを作成してもらいました。大人数で一緒にデザイン・計画作業をするのは、困難で作業であることが分かっていましたので、最初に4チームに分け、4つのコンセプトを作ってもらい、途中の段階でその二つのグループを上手く一つのチームにまとめ、二つのコンセプトの作るというプロセスにしました。以下は学生の最終プレゼンの一部の敷地分析になります。プロと同じくらいの出来になり、とてもよいものだったと思います。

スロープ分析

スロープ分析 斜面の角度により、どの場所が開発しやすいか、保護しなければいけないか考える。

View Study 斜面方向を考慮した景観の眺めのダイアグラム

View Study 斜面方向を考慮した景観の眺めのダイアグラム

最近の学生は、コンピューターの作業が多くなり、手書きのスケッチやドローイングが出来る学生が少なくなりました。Design Charretteの過程で、学生達が多くのグラフィックの作成が必要とする前に、事務所のデザイナーと一緒になって、一時間ほどハンドグラフィックのワークショップを開きました。これは、学生から、とても好評でありました。後々、学生に聞いてみると、ハンドグラフィックが出来る先生が少なくなっており、授業の中でコンピューターグラフィックを多く要請いしているもの、原因があるようです。

ハンドグラフィックのワークショップ

ハンドグラフィックのワークショップ

 
LSUは、現在(2011年)において、学部のレベルでは米国の中で第一位、大学院のレベルでは第二位という、とても良いプログラムになりました。これは、私が在籍していた時よりも高い評価であり、今回、その改良点を多く垣間見ることができました。ルイジアナという田舎にある普通の大学が、ここまで至ったには、教授陣による新しい取り組みと努力があるようです。

  • 新しい教授陣による、最先端の知識と取り組み、更には、その熱心さ。これは、今年のASLAの学生部門にを5つの受賞にみることが出来る。http://www.asla.org/2011studentawards/
  • Bruce先生とMax先生といった長い経歴を待つ教授の先生が、卒業生を関係を保ち、多くの事務所に生徒を連れて行き、学生をインターンとして派遣している。これは、米国内に留まらず、世界中の国に至る。大学4年時の春には、インターン、もしくは海外で勉強することが必須になっている。
  • ルイジアナには、あまり多くのランドスケープのプロジェクトがないので、それを観る為に、先生達が学生達を連れて、米国の中を、更には、世界中を連れて廻る。その際に、安いモーテルや、ユースホステルに泊まり、超過の時間を費やすのを問わない教授がいる。このような先生は、米国の他の大学には見当たらない。

Bruce先生と学生に、とても気に入ってもらったようで、お世話になった先生に恩返しが少し出来たようです。以下が先生からのコメントです。
 

Dear EDSA Family:

Wow!!! What an exceptional experience you provided my design studio students this week. The Pointe Marquis project was the perfect warm-up for our community planning studio this semester. We–the students and I–appreciated the generous time commitment you made in critiquing the students each day as they progressed through the design charrette, the studio space and materials provided, and all the other matters of hospitality. Thank you all very much for a terrific educational experience. I hope we can do something like this again in the near future.

All the best to you all,

Bruce Sharky, FASLA

Robert S. Reich School of Landscape Architecture
302 College of Art and Design
Louisiana State University
Baton Rouge, LA 70803 USA 225.578.1441

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