出来るだけダムに頼らない治水対策 – 今後の治水対策のあり方への提案

2月 27th, 2010 by Taguchi Leave a reply »

先々週は、週一回の更新を決めていたランドスケープデザイン日誌の更新をついついサボってしまいました。実は言うと、国土交通省河川局河川計画課が「今後の治水対策のあり方に関する意見募集」というものをしていまして、私も国民の一人として『何かランドスケープの観点から提案できるのではないか?』と考え、まだまだ未熟者ですが提案させて頂きました。それに時間を費やし、ついつい更新出来なかったのです。。。
この提案はランドスケープのコンペティションと異なり、別に提案したからといって、賞や報酬がある訳でもありません。なぜこの意見募集に提案することにしたのか?ということですが、私は【日本は世界の国に比べて水資源があまりにも豊富であるので、少し粗末に扱いすぎる】と考えているからです。それ故に、ダム、調整池、雨水・下水管などのハードなインフラをつくり、あまり人々が見えない場所でその処理を行い、それに対して国民は何も違和感が涌かないというのが現状です。
ダムというものはとても一般の人でも目に見えわかりやすく、今回、民主党の前原さんが国土交通省の大臣になった後でも問題視されました。そして、廃止もしくは再度検討ということになりました。いくらダムが治水をすると共に発電したり、まちおこし面的な多目的な意図があるかもしれませんが、個人的には作らなくてよいのであれば、それにこしたことはないと言うのが私見です。さらに、これとともに私たちの多くの税金が使用されている地中に埋まっている巨大トンネルのような調整池も問題するべきだと思っているのですが。。。これは人目につかない為に、あまり話題にあがりません…話が少しそれますので、これまでに。
さて提案の件ですが、明治大学客員研究員の菊池佐智子さんとのコラボレーション提案になります。私たちはグリーンインフラを用いた治水対策というものを提案させて頂きました。

今後の治水対策のあり方に関する意見① グリーンインフラ、バイオリテンション、屋上緑化・屋根緑化

今後の治水対策のあり方に関する意見① グリーンインフラ、バイオリテンション、屋上緑化・屋根緑化


グリーンインフラとしては、バイオリテンション(Bioretention)を中心とした屋上緑化・屋根緑化とレインガーデンにより、雨水管理・治水対策をするというものになります。
 
今後の治水対策のあり方に関する意見2 グリーンインフラ、バイオリテンション、レインガーデン

今後の治水対策のあり方に関する意見② グリーンインフラ、バイオリテンション、レインガーデン


レインガーデンは、ランドスケープ・土木におけるサステイナブルな手法として、これからの公共空間で多く提案していけたらと思います。
 
今後の治水対策のあり方に関する意見2 グリーンインフラ、バイオリテンション、ベストマネジメントプラクティス

今後の治水対策のあり方に関する意見③ グリーンインフラ、バイオリテンション、ベストマネジメントプラクティス


 
【まとめ】
都市開発が進むにつれて、雨水を貯留・浸透できるエリアが減少し、地表流出が増加した現状があり、それが都市型洪水などを起こす要因となっている。今回、私たちが提案するグリーン・インフラ(バイオリテンション、屋上緑化・屋根緑化、レインガーデン等)は、いかに現在の都市を良好な景観を創出し、自然的な水循環に近づけようとする自然共生型環境技術の一つである。これを用い、将来の子供たちのために、生態系を保護しつつ、人間と自然が上手く付き合える社会・文化の基盤がつくれたらと私たちは考える。
 
【提案を終えて】
今回、菊池さんを誘い、コラボレーションという形で提案させて頂きました。そして、研究者としての視点からの意見交換などを通し、私自身とても良い刺激になりました。このような提案であったり、コンペ等でチームを組み、いつも以上のことにチャレンジするというのは簡単なことではありませんが、とても良い勉強方法の一つであるように思えました。これからもランドスケープアーキテクトの人達だけでなく、いろいろな分野の人達とコラボレーションして、より良い空間・ランドスケープを将来の子供たちの為に提案できたら。。。と思いました。まだまだ切磋琢磨する必要がありそうです。
 
以上。
 
 
参考程度ですが、この提案募集内容に興味ある方は、以下がその内容になります。
今後の治水対策のあり方に関する意見募集について
平成22年1月20日
「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を進めるとの考えに基づき、今後の治水対策について検討を行う際に必要となる、幅広い治水対策案の立案手法、新たな評価軸及び総合的な評価の考え方等を検討するとともに、さらにこれらを踏まえて今後の治水理念を構築し、提言することを目的として、平成21年12月3日に「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が設置されました。
当会議では、本年夏頃を目途に中間とりまとめを公表し、この中間とりまとめ等を踏まえて個別ダムの検証が行われる予定です。今後の検討の参考とするため、以下の意見募集要領のとおり、広く国民の皆様から御意見を募集いたします。
 
 
意見募集要領
1.意見募集対象
1)幅広い治水対策案の具体的提案について
治水対策は、河道の掘削、引堤、堤防のかさ上げ、堤防の質的強化、遊水地、ダムの整備等に加えて、既存施設の有効活用、貯留・浸透施設の整備、森林の保全、氾濫原管理、洪水の予測や情報の提供、水防対策など被害の軽減を図る対策等を含めて、幅広い方策を検討することが考えられます。このような治水対策案に関して具体的提案を募集します。
2)新たな評価軸の具体的提案について
治水対策案を比較するために、これまでの評価軸に加え、時間的・財政的な制約等を加味した新たな評価軸を検討するとともに、それぞれの評価軸の有意性や限界等について検討することが考えられます。評価軸としては、例えば、被害軽減効果(経済(資産)、人命、社会機能等)、コスト(維持管理含む)、地域社会・環境等への影響、利水事業への影響、実現性、達成しうる安全度等が考えられます。このような新たな評価軸に関して具体的提案を募集します。
2.募集期間
平成22年1月20日~2月19日(19日17:00必着)

http://www.mlit.go.jp/report/press/river03_hh_000215.html

http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/index.html

【追記】
今後の治水対策へのあり方への提案PDF by Kikuchi and Taguchi

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