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緑の柱・壁面緑化|Living Wall – 丸の内パークビルディング

2月 4th, 2010

丸の内パークビルディングのピロティ部にある緑の柱(壁面緑化)について、詳しく見てみたいと思います。
 

遠くから緑の柱を見る。スケール感を感じ取って欲しい。

遠くから緑の柱を見る。ぜひスケール感を感じ取って欲しい。


 
最近の壁面緑化の面白さは、様々な色調とテクスチャーにあると思います。以前までは、つる植物に限られていた壁面緑化の植物素材が、壁面緑化の技術の発達により、グラウンドカバー植物を直接に緑化基盤に植えることが出来るになり、多種多様の植物が用いられるようになりました。つる植物の場合は、「吸着してよじ登る」「からまってよじ登る」「垂れる」などの生育特性を生かした登はん型やユニット型を中心としたものでしたが、現在は、この丸の内パークビルディングの緑の柱に使用された垂直基盤型が現れ、ランドスケープ・アーキテクトの使用する植物素材が、とても自由に広がりました。
 
ランドスケープ・デザインの視点から、この壁面という垂直な構造体を考えると、とても視認性が優れているという点があります。簡単に言うと、普通に写真を取った際に、その画面に占める割合が多いということです。ということは、外部空間において壁というのは、空間を定義するだけでなく、人の目に自然と入ってくる大きな要素なのです。この視覚的アピールを利用し、最近の壁面緑化は企業やデベロッパーが私の建物は「環境に良いものだ!」と主張する広告・看板的な効果を目的とした利用が多いです。私自身の写真はありませんが、銀座のソニービルの壁面緑化も、「環境を配慮している」という会社の方針を示す広告効果を狙ったものとして例が挙げられると思います。 » Read more: 緑の柱・壁面緑化|Living Wall – 丸の内パークビルディング

丸の内パークビルディング(ブリック・スクエア)と三菱一号館美術館の広場

1月 27th, 2010

実は私は年末から新年にかけて、日本に一時帰国していました。その際に、東京で『これは素晴らしい。』と思ったランドスケープの一つを紹介したいと思います。それが、丸の内パークビルディング(ブリック・スクエア)と三菱一号館美術館の広場・中庭です。この場所は、東京駅の丸ビルがある仲通を有楽町・銀座方面に少し歩いたところにあります。少し奥に入った場所にあるので、気づきにくいかもしれませんが、その分、中に入ると都会の喧騒を忘れてしまうような、ちょっとした楽園的な空間になっています。特に私が行った日は、仲通りを歩いていると冬の北風やビル風が非常に強く吹きとても寒かったのですが、このブリックスクエアの入り口に入ると、気のせいかビル風があまりなく、外にいても快適でした。きっと広場が低層の建築物に囲まれていることにより緩和されたのだと思います。一方、仲通りそのものはほぼ南北に道が走っている為に、冬の北風をよく通すのでしょう。

仲通から丸の内ブリック・スクエア入り口

仲通から丸の内ブリック・スクエア入り口。角のお店は、花屋。

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High Line Park – 総括 – 荒廃した高架。そこに敷かれた砂利の間から生えた草。全ては、ここから始まった。

1月 22nd, 2010

現在、ニューヨークのアイコン的な公園になったThe High Lineだが、2001年当時は貨物列車が使用しなくなってから約20年が経ち、市長のジュリアーニの了承の下に、取り壊しまで後1ヶ月という寸前の危機に直面していた。
その取り壊しに関する自治会(Community Board Meeting)で、ある二人の住民が出会うまでは。。。

この二人の名前はJosha DavidとRobert Hammond。後に、非営利団体のThe Friends of High Lineを作ることになり、このThe High Lineの貨物列車高架の保存を唱え、その上に公共空間があることを想像しました。彼らが始めた草の根運動は、アーティスト、芸能人、企業家、政治家を含め、少しづつ大きな運動に発展します。

その願いは市長選の政策課題に取り上げられ、遂には、市からの公共空間としての利用許可が降ります。そして2003年にThe Friends of High Lineを中心に、この公園を作るきっかけにもなる国際コンペを開くまでに至りました。現在は、The Friends of High Lineは、運営管理に積極的に関わりつつ、そのコストの約7割の資金を補う為の、多大な献金を集める中心的な存在になっています。

今回は、総括としてthe Friends of High Lineが多く使用しているYouTubeを活用して、一連の事がわかる画像を紹介します。もちろん、実際に皆さんには行って欲しいのですが、少しはこれで体験出来たらと思います。英語ですが、少し分からなくても、どれも楽しめると思います。

まずは、全体的なHigh Lineの内容がわかるビデオ。映画「アメリカンヒストリーX」で有名なEdward Norton(ニューヨーク市民)が出てたりします。



The High Line公園の全体の流れ

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High Line Park – 宙から車を眺める屋外シアター

1月 13th, 2010

しばらく時間を空けてしまいましたが、またHigh Line Parkの続きを紹介したいと思います。この公園は、意外と見所が多いのです。

そのThe High Lineのメインとなるのが、Amphitheater(屋外シアター・劇場)です。何と、このAmphitheaterは、公園の下を通る車の交通を眺めるというものです。

Amphitheater - 屋上公園の下を通る車の交通を眺める。

Amphitheater - 屋上公園の下を通る車の交通を眺める。

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High Line Park – 屋上公園 -ここは宙に浮かぶ公園、けれど建物を潜り抜ける

12月 18th, 2009

High Line Parkをさらに奥へ歩いて行くと、建物を潜り抜けることになります。この公園はもともと線路高架の上に造られた、つまり簡単に言えば、屋上に存在するのに、さらにその上に構造体が存在し、トンネルのように穴の開いた空間を利用者は通り抜けて行く事になります。この行為は大変面白いものです。最初に私が通り抜けた建物は、象徴的なモダンな外観を持つブティックホテルのThe Standard Hotelです。

公園は建築をくぐり抜ける。建物は、Andre Balazsが経営するブティックホテルのThe Standard Hotel。

公園は建築をくぐり抜ける。建物は、Andre Balazsが経営するブティックホテルのThe Standard Hotel。リズム感のあるガラス窓のファサードがいい感じ。

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High Line Park – 屋上公園 -空を歩くかの如く。

12月 12th, 2009

このニューヨークのHigh Line Parkの面白いところは、現在を象徴するようなコンテンポラリーな雰囲気を思いっきり反映させたところです。
前回説明した入り口の細長い階段を上って行くと、空を突き抜けるような広々とした開けた空間が現れます。この狭くて薄暗い空間に対して、空と緑の明るく広い空間の対比が利用者にとても新鮮な印象を与えているようでした。そして少し驚かされるのは、この公園の特徴と言うべき、ペーブメント(舗装)が緑に編みこむようにギザギザ状になっていたり、舗装が立ち上がりつつベンチになっていたりと、多くの場所に現代風の解釈を取り入れつつ設計されたランドスケープエレメントです。これらは、人々にアート感を与えだけでなく、このNYマンハッタンという場所を表現するような、活きを個人的に感じました。少しベンチは、KBASのペンタゴンメモリアルのデザインの類似点がありますが、サイトファーニチャーで個性を出すのは、なかなか難しいので今回は良しとしましょう。

Gansevoort Woodland-HIgh Line Entrance

長い入り口の階段を上っていくと、周辺の都会の雰囲気とは異なり、別世界。

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