Archive for the ‘書籍・本’ category

人生フルーツ

9月 9th, 2018

5月の終わりに日本に帰国している際に、川越のスカラ座という古い映画館に「人生フルーツ」という映画を観に行きました。恐らく、ランドスケープ関連の人達は観たことのある方が多いのではないでしょうか?以前に家族に勧められて本を読んでいたのですが、このドキュメンタリー映画で出てくる建築家の津端修一さんの仕事は、私がしているランドスケープの仕事のマスタープランと同一のものでした。当時、日本住宅公団でニュータウン計画の構想下の大規模団地は津端さんの思いとは異なり、山を崩し効率化を求めたものになってしまいました。津端さんは退職し、その後、奥さんと一緒にその無機質なニュータウンの一角に土地を購入し、雑木林やキッチンガーデンを作りながら生活を営みます。ランドスケープの関係者には、ぜひ見て欲しいドキュメンタリーです。サステイナブルな生活を考えさせられる、また、ランドスケープのマスタープランとは、どういうものか分かりやすいドキュメンタリー映画です。

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「見えない庭」本を譲ります

5月 12th, 2018

以前のブログで書いたピーターウォカー著の日本語訳の書籍を譲ります。今日から二週間ほど、日本に滞在していますので、日本にいる方、プロや学生に問わず、譲ることができたらと思います。送料は着払い(関東圏より発送)でお願い致します。

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ランドスケープを勉強する為の本

5月 4th, 2018

「日本語でランドスケープを勉強し始めるには、どのような本がお勧めですか?」

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海外で働いてから何度も読んだ本 松下幸之助 「道をひらく」

11月 11th, 2017

困ったとき、迷ったとき、壁にぶちあたったき、
落ち着きたいとき、将来のことを考えるとき。。。

いろいろ場面に、この「道をひらく」という松下幸之助さんの本を読みます。
ベッドサイドテーブルに入っている、たった一冊の本です。まるで聖書のような扱いです。

道をひらく 松下幸之助

道をひらく 松下幸之助


その本の最初の文章を紹介します。
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雨がふれば人はなにげなく傘をひらく
この自然な心の動きにその素直さに私たちは日ごろあまり気づいてはいない » Read more: 海外で働いてから何度も読んだ本 松下幸之助 「道をひらく」

ピーター・ウォーカー 豊田市美術館 見えない庭 

8月 15th, 2016

「専門家が選ぶ建物が魅力的な美術館・ベスト10」
一位は豊島美術館、二位は豊田市美術館…。
電子版の日経新聞で読んだ記事にはこう載っていました。

私が15年前ほどに、豊田市美術館は訪れたことを思い出し、その記事に豊田市美術館は「庭園と一体、優美な景観」と書いてありました。

© 豊田市美術館

© 豊田市美術館


私がこの美術館に訪れた時、立地条件、建築、そしてランドスケープの調和のとれた美を感じたことを思い出します。当時、青春18切符で九州から東京にかけてランドスケープや建築を見て回っていた時に、米国で有名なピーター・ウォーカーの作品を見てみたいと思い、ここに訪れました。ここの美術館の素晴らしさは、七州城の城跡の高台に位置した立地条件です。昔の人は、やはり景観の素晴らしい位置を知っており、その場所にお城を建てたのでしょう。そして建築と庭、特に水景と建築の一体化した内と外の関係は、まさに美術館にはピッタリの空間です。茶室「童子苑」があり、昔が城跡であったことを忍ぶことができるのも、とても良いです。
PWP事務所における豊田市美術館のモデル

ピーター・ウォーカーPWP事務所における豊田市美術館のモデル


この建築は、のちにニューヨークの近代美術館を設計した谷口吉生氏、ランドスケープはニューヨークのグラウンドゼロのランドスケープを設計したピーター・ウォーカーと巨匠のコラボレーションになっていますので、ぜひ見に行くのもよいと思います。

さて、このことについて書いたのは、「見えない庭」というピーター・ウォーカーとメラニー・サイモの米国の近代ランドスケープの歴史の本を読んだからです。学生の頃は、この本のランドスケープの歴史に登場する人物に、あまりピンと来るものが無かったのですが、実務をしていろいろな分野や業界の方に関わると、このような近代史を振り返るのも良いものだと思いました。
ここには、セントラルパークのオルムステッドに始まり、ロバート・ブール・マルクス、ルイス・バラガン、イサム・ノグチのアートとランドスケープ、そしてトーマス・チャーチのモダン・ランドスケープへの流れを読み取ることができます。これらは、後にEDAW(現AECOM)の創始者の一人であるガレット・エクボの時代から、ランドスケープ計画の複雑化と近代化により、社会的に重要な役割を担うようになったようです。
エクボは環境のデザインを行う二つの戦略にはこう提示している。
「第一に、協同することを求める人間の基本的な本能を強化すること。それなくしては社会が存続できない。第二に、プランナーやデザイナーが彼らの努力の成果を認識させることである。成果とは、壮大な空間や美しく囲い込まれた場所でなく、その中にうちとけ、成長し、発展する人びとのことである。」(p.116)
きっと、社会の複雑な都市問題を解くには、コラボレーションの大切さが必要であることをエクボが気づいたのだと私は思いました。

この本には、私が好きなローレンス・ハルプリンから、ダン・カイリー、ヒデオ・ササキ、更には組織系事務所のSWAまでの歴史が書かれています。いくつか、私が気にいった部分を以下にメモ » Read more: ピーター・ウォーカー 豊田市美術館 見えない庭 

これからランドスケープを勉強する、実務をする人への本(造園計画、造園技術)

6月 5th, 2016

私は日本の大学で緑地学を学び、米国でランドスケープアーキテクチャーを学びました。そして、米国のEDSA事務所でランドスケープアーキテクトとして、11年働いています。今年、このブログに連絡をくださった方の中から二名、米国のランドスケープアーキテクチャーの大学院への留学が決定したと連絡をいただきました。これは、とても嬉しいことだと思います。しかし個人的にですが、日本人でランドスケープの分野に関わる若い人たちが年々少なくなっているような気がしています。私は現在日本におりませんので、感覚的にですが、留学する人も僅かなのではないかと思います。
ただ嬉しいこともあります。日本で他の分野を学んでいた方が、ランドスケープを新たに学ぶために米国へ留学をしたいという相談を受けることが増えてきました。例えば、建築、社会地域学、または、経済、英文科など、それは人それぞれです。

では、このような方が、手軽に日本語で、どのようなランドスケープの本を読んで勉強すれば良いのか?
今日はその方法の一つをご紹介したいと思います。

高等学校用の「造園計画」という教科書を私はお勧めします。実務をしている私が見ても、よくまとまっていると思います。大学の先生が教えるような基礎的なことが大体カバーされています。とても安価な本(当時400円)ですので、大学生でもぜひ持っておくと良いと思います。実務をする場合にも、一冊持っておくと便利だと思います。
本に記載されている(日本、世界の庭園の歴史)は、簡潔に書かれていて分かりやすく、この本に出てくるような庭園や公園には、ぜひ足を運んでみるとよいでしょう。私は、大学四年生の時(2002年)に一冊、2010年に一冊買っています。コンピューター技術の発展もあり、私の持っている2010年度版に記載されている、造園製図については少し時代遅れの内容なので、現在は改定されていると良いのですが、確認はできていません。
また、この本は、造園の範囲での設計や計画に収まっており、今後、近代や現代のランドスケープの広大な領域までカバーできるような内容に将来改定されることを期待しています。そして、マスタープランのような敷地計画や、都市デザインまで、現代のランドスケープの仕事をカバーする内容になると良いと思います。これらの不足部分や将来補充に必要な項目があるものの、ランドスケープアーキテクトを目指す方に、「一冊持っているべき本」としてお勧めします。ランドスケープの分野において、高校生から学ぶ人たちがもっと増えてくると良いのかもしれませんし、実務においても採用していくことを検討する必要があるのではないでしょうか?

高等学校教書 造園計画、造園技術がランドスケープ初心者にお勧めです。

高等学校教書 造園計画、造園技術がランドスケープ初心者にお勧めです。


次の本は、これも高校の教科書の「造園技術」です。これは、 » Read more: これからランドスケープを勉強する、実務をする人への本(造園計画、造園技術)