Archive for 2011年5月

ランドスケープ留学(大学院)、合格おめでとう!& 留学中は、インターンシップを!

5月 24th, 2011

とても嬉しいニュースをブログを読んでいる方から頂きました。このブログを書き始めてから、ランドスケープ(Landscape Architecture)留学の相談を多くの方から受けてきました。何と、その中の方から、米国のランドスケープの大学院に合格した!とお便りを頂きました。初合格者ですので、私にとっても、これからランドスケープ・アーキテクトを目指す方が増えるのは、とても喜ばしいことです。

最近、米国のランドスケープ大学院について、この5月に卒業する友人と話す機会がありました。彼は、こちらでの留学生活を通して、日本のランドスケープ教育と米国のランドスケープ教育に、とても差があると感じたと言っていました。私も、この点に関しては、自分の経験からして同意見になります。さて、「何が違うのでしょうか?」

  1. 日本は研究重視 vs 米国は設計・計画の実務重視
  2. 米国のランドスケープ学科は、多人数の教授陣を抱える。大学によって、異なるが、10~25人程度が一般のようです。
  3. ランドスケープとしての専門職の社会的認知度、立場が異なる。→この点に関しては、私もランドスケープアーキテクトの一人として、これから頑張っていかなければなりません。

1番に関しては、大学のカリキュラムに反映されているようです。大学によっては、4年、5年の高学年の学生に、実務のインターンシップを必須としているカリキュラムが多く存在します。つまり、生徒を学生期間中に一学期間、実務の経験を積ませるということです。私が卒業したLouisiana State Universityも、今年の届いたニュースレター冊子によると、今まで選択科目であったインターンシップを、必須にしたと書いてありました。

LSU LA 2011 news letter

LSU Landscape Architecture 2011 news letterの冊子。毎年、卒業生に生徒がどのようなプロジェクトに取り組んでいるか。また、現在、活躍している卒業生のインタビュー記事などが載っています。

私自身も最初の冬休みは、 » Read more: ランドスケープ留学(大学院)、合格おめでとう!& 留学中は、インターンシップを!

エコ・省エネ・サステイナブルなランドスケープの評価・研究、そして創造

5月 17th, 2011

サステイナブル、それは共生と成長
エコロジー、それは環境にやさしい事
生物多様性、それは全ての生物、生態系の多様性との共存

私達ランドスケープ・アーキテクトはこのようなモットーを基に仕事をしている人が多いことだと思います。しかし、実際は不動産開発に関わる仕事が多く、「本当に環境にやさしい空間を創っているのだろうか?」という課題にぶつかることが多くあります。なぜなら、私達の仕事には、依頼者がおり、その依頼者は彼らのビジネスの為の経済的利益、つまりお金におけるサステイナビリティーを目指しているからです。

では、これからのランドスケープ・デザインはどうするべきなのか?
この質問に返答するのは、なかなか難しいことであるし、時と場所により異なるかもしれません。私の現在の答えとしては、経済的にもサステイナブルにし、かつ環境にも優しくすると両者が共にある設計・計画をしていく必要があると思います。そして、それが可能な時期になってきたと最近は感じています。温暖化・エネルギー問題に対しての一般の人々・企業の考え方が変化しつつあるからです。
更に、土地に対して、この環境、経済の両者をプラスの方向性を示すと共に、芸術的な面もランドスケープに織り込んでいき、アートとサステイナブルが両立し、バランスよくなれば、それは長期に渡って皆さんから喜ばれるランドスケープになるのでしょう。
 

Landscape Architecture Foundation

Landscape Architecture Foundationのウェブサイト

さて、なぜサステイナブルなランドスケープに » Read more: エコ・省エネ・サステイナブルなランドスケープの評価・研究、そして創造

樹木を考える - ポケットパークで使われた植栽

5月 10th, 2011

「木を植えた男」という絵本を読んだことがありますか?

私は小さい頃に両親が読んでくれたこの本がとても大好きでした。本の内容は、老人が、毎日ひたすら、荒れ果てた土地に木を植え、やがて、そこには平和で美しい森ができ、人と自然の営みが出来ていくという物語です。

私は、幼い頃のこの本の影響なのか、樹木や自然にとても関心があります。そして時折、この自分の好奇心に導かれ、樹木のことを図鑑やウェブサイトを使って調べてみることがあります。木の神秘性や、知らなかった特性に感心すると共に、「この樹木は、こんな場所で使えたら良いだろう、もしくは、この特徴を生かしたらどうなのか?」と考え事をします。

さて、今回は、先日に書いたニューヨークのポケットパークの代表作、Paley ParkとGreenacre Parkで使われた樹木について考え事をしてみることにします。 » Read more: 樹木を考える - ポケットパークで使われた植栽

Greenacre Park 緑、水、そして冬の対策

5月 3rd, 2011

前回紹介したグリーンエーカーパークの続きです。今回は、植栽の緑、カスケードの水景施設、そして、公園の冬の寒さ対策について書くことにします。
このGreenacre Parkにおいては、見本となったポケットパークのPaley Parkと同様に、小さな空間を活かすとともに、ハードな壁面の視覚を和らげるために、ツタによる壁面緑化がされていました。やはり、密度の高い都市空間では、壁という立面をどのように扱うのか重要なのでしょう。メインの樹木がアメリカサイカチ【Gleditsia triacanthos(Honey Locust)】が使われいたので、Paley Parkと同じく、ヘデラ【Hedera helix(English Ivy)】が使用されているのだろうと思っていましたが、ここでは、ナツヅタ【Parthenocissus tricuspidata(Boston Ivy/Japanese Ivy)が使われているそうです。両方とも夏場は、緑色をしているツタなのですが、秋には、グリーンエーカーで使用されているナツヅタは鮮やかな赤色に紅葉しますので、雰囲気が大変変わることでしょう。

Parthenocissus tricuspidata

ナツヅタParthenocissus tricuspidataで覆われた壁

ツタ一つを選ぶのにも、それが » Read more: Greenacre Park 緑、水、そして冬の対策