植栽デザイン Planting Design

2010年 2月 23日 火曜日by Taguchi Leave a reply »

フロリダの住んでいる町(Fort Lauderdale)で、Secret Garaden Tourというイベントを通して、億万長者の有名人や園芸愛好家の庭園を見る機会がありました。そこで感じたのは、いくらお金をかけていても味気のない庭であったり、もしくは、ちょっとした庭でも、これは良いなと思われるものに分かれました。その違いは、どこにあったかというと、植えてある樹木、灌木、グランドカバーといった植栽だと私は思いました。(残念ながら防犯の都合上、一切写真を撮ることが出来ませんでした。。。)
そこで、今回は植栽デザイン(Planting Design)について触れてみたいと思います。植物というのは、どうしてもランドスケープ・アーキテクトの仕事をしていると、この部分に関わらないと言う訳にはいきません。今回、この記事を書いているときに、米国のLandscapeArchitecture大学院時代にPlantingDesignという授業を受けた時の教科書や、仕事を始めてから購入した本を久しぶりにパラパラと読んでみました。正直言いますと「これだ!」っていう本が無いのが本音ですが、いくつか挙げてみることにします。 

さて、話を植栽デザインの方向に戻したいと思います。私たちランドスケープ・アーキテクトが関わる仕事は、太陽の下、自然環境の中で設計をする訳ですから、必ずその最終図面には、植栽図(Planting Plan)という樹木、潅木、グランドカバーなどの植物をどのように植えるのかという図面を作らなければなりません。この領域においては、コラボレーションをする建築家たちも、植物の専門家ではありませんので、私たちランドスケープ・アーキテクトの腕の見せ所ということにもなります。

植栽デザインをする上で、まず植物のことを詳しく知る必要があります。しかし地球上において植物の種類は約20万から30万種と言われていますので、この限りない数の植物素材やそのデザインをどのように学んでいくか?ということが課題になります。まだまだ、私もコレといった勉強方法が見つかった訳ではありませんが、これを機会に以下に記しておきます。

  1. 自然要素である地域性・気候、土壌、光、湿度、風などの関連付けて、植物・植生を把握する。(これは最低平均気候に左右される場合が多いです。)
  2. 植物の特性に注目する。(特に塩害・日陰に強い・耐乾、耐湿性といった特別な環境のもとで植えることが可能な植物の把握。)
  3. 常緑、落葉の植物の把握。(落葉植物は、一年の半分は幹や枝などを中心とした形(Form, Line)が現れることを美的・機能的観点から考慮する。)
  4. 時間という流れを考える。植物は建築・構造物などの無機物と違い、成長するので、植えた時の植物の大きさと、最終的に育つ大きさを知る必要がある。プロジェクト次第では、中期的(植栽してから5-10年後)の大きさも重要である。
  5. 植栽管理の頻度や必要性を知る。デザイナーは、クライアントにある程度の維持管理の必要性があることを伝えるべきである。
  6. 色やテクスチャーの把握する。植物の葉や枝などが織り成す素材感や、普段の色だけでなく、四季の移り変わりの色を理解する。画家が絵の具を使って、芸術という絵画を作るように、ランドスケープアーキテクトは植物というパレットを利用して空間をデザインする。
  7. 単独の植物とではなく、植生群(Planting Community)として捉える。
  8. 在来種と侵略的外来種を知る。毒性のある植物の把握。
  9. 先例として、歴史のある庭園を調査し、植栽リストを作る。そこにある植物は、歴史・文化・環境などを反映した素晴らしい事例である。また、全ての自然にある植物が庭やランドスケープの素材として利用しやすい訳ではないことに注意したい。
  10. 3つぐらいの植物の組み合わせ・コンビネーションして捉える。一つ一つ学ぶより、この組み合わせで全体が美しいという方が、人の感性により働きかけるように思われる。一つの美しい植物も、それの背景にある植物や下にある植物によって、美しさが異なるだろう。

また、最近読んだFineGradeningの雑誌の付録についてきた記事で、グラウンドカバーの植栽デザインの説明ですが、とてもシンプルで良いと思います。これを抑えて、植物を日々観察していけばより良い植物デザイナーになることが出来ると思います。

植栽デザインのコツ01)

Left: 形態と補色を利用してコントラストを付ける。 Right: 類似色を利用するが、異なる形を組み合わせる。


Left: 葉の形やパターンによりコントラストをつける。 Right: 淡い青の植物を入れ、色調(明度や彩度といったトーン)を和らげる。

Left: 葉の形やパターンによりコントラストをつける。 Right: 淡い青の植物を入れ、色調(明度や彩度といったトーン)を和らげる。


Left: いろいろな高さとテキスチャーを利用する。 Right: 調和した色相を持つ植物を利用する。

Left: いろいろな高さとテキスチャーを利用する。 Right: 調和した色相を持つ植物を利用する。


これらの他に、植物構成の5つの基礎的要素を知っておくと便利だと思います。

  1. Line|線
  2. Form|形態
  3. Mass|組み合わせたボリューム
  4. Texture|テクスチャー
  5. Color|色彩

<追記>
実は言うと学生の時は、私はあまり植物のことを覚えるのが苦手でした。何で訳の分からない学名を覚えなくてはならないんだと反抗したものです。そして、日本の大学の植栽論という授業ではギリギリ再履修しなくてよい成績を取りました。

その後、私はわざわざその単位をくれた先生が指導していた研究室に所属することになりました。なぜ、そんな単位を与えてくれた先生の下で勉強しようと思ったか?それは他の先生は、授業をいくつかサボってもテスト前に少し勉強すれば、テストが簡単に解けたり、過去のテストと同じ質問を出すような先生が多かったのです。当時の怠け者学生の私にとっては、それを治す意味も含めて、厳しそうな先生のもとで勉強してみるかという気になったのでしょう。例年、私のような単位を取った生徒は入れないそうなのですが、その年に限り、なぜか定員割れをしたお陰で入れたんだと思います。きっと、ラッキーだったとしかいいようがありません。そして、この研究室に入らなければ、私はランドスケープ・アーキテクトの道に進むこともなかったのではないか?と思うことも多々あります。人生、本当に縁みたいなものがあり、何があるか分りません。

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