Posts Tagged ‘デザイン’

アメリカのランドスケープ大学院のポートフォリオについて-デザイン系のバックグラウンドが無い人のために

7月 3rd, 2013

過去に多くの方から、自分はデザイン系のバックグランドが無い(建築、造園、インテリア、アート等)ですが、アメリカのランドスケープ大学院の受験をしたいという問い合わせが多くありました。私が大学院にいた時は、半分ぐらいの大学院生が、デザイン系のバックグランドが無い人でした。私自身は、一年間、交換留学のような形で、コロラドのランドスケープ学科にいましたので、大学院に応募する際には、それなりの作品がありました。(今思うと、たいした事のないものですが。。。)それ故に、この点に関して、どのようにしたら良いのか、あまり分かりませんでした。

大学院募集時のランドスケープポートフォリオ(黒)、インターン募集時のポートフォリオ(白)

大学院募集時のポートフォリオ(黒)、インターン募集時のポートフォリオ(白)


さて、米国のランドスケープ大学院は、デザインのバックグラウンドが無い人用に、3年間のコースをきちんと用意してあります。ただ、先月、事務所に入ったデザイン形の経験が無かった留学生の同僚に聞いたところ、ポートフォリオを提出したと言っていました。ポートフォリオは型にはまるようなものは、無いのですが、同僚の意見を含めて、以下のようなものを含めて提出するのが良いと思います。

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Greenacre Park ポケットパークのディテールを観る

4月 26th, 2011

以前紹介したGreenacre Parkの続きになります。7年前に私のLSU大学院のMax先生と学生達と一緒にフィールドトリップで、この公園には初めて訪れました。そのとき、ハーバード時代のMax先生の先生が、この公園の設計担当をしたKinoshita氏らしく、いろいろと話してくれました。その話によると、Kinoshita氏はサーリネンの事務所で働いていた時に覚えた、実寸スケール、つまり1:1のモックアップをこの公園の施工時にやったそうです。ですから、この小さな公園には、多くのディテールも見応えがあります。マテリアルの使い方も、アメリカらしい力強さを感じさせつつ、石という日本的な素材も多くに使われています。まず最初に注目したいのは、エントランス部には、彫られた御影石にエッチングによるとてもシンプルなサインとトレリスです。

Greenacre Park Entrance Signage

シンプルなサイン(公園看板)と繊細な緑陰


よく観るとその上には、このような言葉が書かれています。

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ランドスケープデザイン・アーキテクトを目指す人、もしくは職業に就いている人の為の本(アメリカ留学の人には特にお勧め)

4月 15th, 2011

この本は、私が日本の大学時代に購入した本です。当時、この著者である都田先生の授業をスライド整理を手伝うと共に、聴講していました。その授業では、この本を読んでレポートを書く課題があり、この本を読みながらアメリカのランドスケープについて、期待感をふくまらせていきました。米国のランドスケープの分野について、あまり詳しくなかったので、少し距離感があったものの、この本に出てくるランドスケープアーキテクト達が語りかえる言葉は、とても新鮮で、わくわくするものがありました。 » Read more: ランドスケープデザイン・アーキテクトを目指す人、もしくは職業に就いている人の為の本(アメリカ留学の人には特にお勧め)

Paley Park ペイリーパーク 都市の小さな緑空間

3月 28th, 2011

前回に引き続き、もう少しペイリーパークの事について書くことにします。
ポケットパークという空間は、特に日本のような小空間な都市環境においては、有効な空間であると私は考えています。しかし、少し間違った位置にこの空間を作ると薄暗く、誰も入りたくなくなるような空間になってしまうのではないか?という疑問が生じます。今回、このブログを書くのを良い機会にでペイリーパークの位置について考察してみました。

まず、下の地図を見ると、この公園が南側が開けている位置にあることが分ります。

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さらにグーグルマップでストリートビューを見ると、東側の建物が2,3階建て程度に抑えられており、太陽の光を入れるように設計、もしくは規制されていることが分ります。午前中の時間には、ある程度、太陽光が公園の西側にある建物に反射し、十分な光が入ることでしょう。更には、建物自体も約8階まで白系の色のファサードにしており、より光を反射するようになっているようです。

柔らかな光と緑 Paley Park

柔らかな光と緑

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庭を見ること、ランドスケープを訪れること

8月 15th, 2010

昨日、大学の研究室の先輩とスカイプで話していると、「研究室の学生が質問があるから、相談に載ってくれないか?」と頼まれました。「夏休みの課題として、素晴らしい屋上緑化の事例を見に行きたいのだが、デザインの観点からみてどこがお勧めですか?」という質問でした。

私は、職業柄、さらには、個人的な趣味として、日本や世界の庭やランドスケープを見に行くことが大好きです。なぜかと言うと、現地の庭・都市空間・公園などには、そこに住む人々が、どのように利用しているのか見ることが出来るからです。そして、現地の気候、緑、光、風などを自分で感じながら、空間や景観を観察することがとても重要だと考えています。そして、そこにある快適な空間には、何が影響しているのか思いふけることもあります。

特に、学生の時には、たくさんのランドスケープを見に行きました。一人で行くことも多かったのですが、ルイジアナ州立大学のMax Conrad先生とは、世界各地のランドスケープを見に行きました。今でも、それは、私がデザイナー・計画者としての貴重な糧となっていることは間違いありません。

Max Z Conrad先生。 視察旅行(Field Trip)のインドにて。

Max Z Conrad先生。 視察旅行(Field Trip)のインドにて。

イサムノグチが影響を受けたというJantar Mantar(Jaipurにて)。 左下にいるのは、一緒に旅行をしたルイジアナ州立大学の学生。階段を上るのがMax先生。

イサムノグチが影響を受けたというJantar Mantar(Jaipurにて)。 左下にいるのは、一緒に旅行をしたルイジアナ州立大学の学生。階段を上るのがMax先生。

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ランドスケープデザインの入門書 「造園計画」

8月 4th, 2010

ランドスケープに関わっていると、いろいろな履歴・職歴などを持った設計者や業界の関係者の方に出会うことが多くあります。環境やランドスケープといった広範囲なものを対象としている為、いろいろな分野の人達がランドスケープに興味を持ち、勉強し、仕事に就くという事実があるのでしょう。
 
このブログを始めてから、ランドスケープ留学について、いろいろな人達から問い合わせや反響がありました。そして最近、少しびっくりしたのが、現在、アフリカでボランティアしている日本人からのお問い合わせです。。。世の中、本当に広いものだと感じると共に、ランドスケープの分野にもグローバル化が進みつつあることを実感しています。そして、よく聞かれる質問の一つが、ランドスケープの経験が無いのですが、留学したいというものです。
 
以前にも書いたかもしれませんが、米国のランドスケープアーキテクチャーの大学院においては、多くの学生が、学部生の時にデザインの勉強をしてなかった人達で大半を占められます。同僚の大学院を出た人達に聞いてみると、その中の数人の海外から来た留学生が、ランドスケープ、建築やデザインを勉強してきた人達が混ざっているというのが、実情のようです。大学院生には、ランドスケープに関わる園芸や環境系の勉強をした人達であったり、経済、アート、文学など様々な事を勉強してきた人達で、皆さん多種多様です。現在、事務所にインターンに来ているLouisiana Sate Universityの大学院生に聞いても、8割ぐらいの学生がデザインの勉強をしてこなかった学生だという事でした。

私のケースは日本の大学にいる際に、緑地(ランドスケープ)を勉強しているものの、あまり特別、デザイン的なことを勉強したのかと考えると、そうでも無いような気がします。この自分の経験と同期の学生達のことをよく考えると、アメリカのランドスケープデザインは、以前からランドスケープに関わっていなかった人でも、関われる分野だと思っています。そして、このような人の多様性にこそ、将来のランドスケープをより良くすることができる私は思っています。
 
しかし、米国に直接留学する人こそ、日本のランドスケープの実情を聞かれることが多くあると思いますし、日本庭園に始まる造園やランドスケープに関する基礎的なことは抑えておいて頂きたいというのも本音です。そこで今回、ランドスケープに関わって来なかった人達も、現在、関わっている人達にも読んでほしい入門本を紹介します。日本語でランドスケープのお勧めの本は、ほとんど無いのですが、初心者・入門者向けには、この海文堂出版の造園計画という本がお勧めです。

造園計画 海文堂出版

造園計画 海文堂出版

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